共産主義は革新か?狩猟採集社会を羨む復古主義の一面

共産主義は一般に「革新」と位置づけられているが、人類史を紐解いてみれば共産主義は革新的とは言えない。

狩猟採集社会への憧れ

人類の社会は、一万年以上昔の旧石器時代に於いては狩猟採集社会だった。この社会は、無階級制・共有制が実現されており、共産主義者にとっては理想の社会だった。
このような体制を、共産主義の提唱者であるKarl MarxとFriedrich Engelsは原始共産制と呼んで重視していた。

共産主義社会とは、人類史上において実現した例は無く、且つ明らかに非現実的なものだった。共産主義者らがそのような社会を本気で目指した理由は、狩猟採集社会という共産主義社会の雛形となる実例が存在したことが大きいだろう。

復古主義としての共産主義

Marxが提唱した経済発展段階論では、原始共産制は「共産主義社会へ至る最初の段階」と位置づけられている。
しかし、共産主義を「現体制から原始共産制への回帰」と見る事も出来るだろう。この視点では、共産主義とは1万年昔の統治制度への回帰を望む極端な復古主義と云える。
実際に原始共産制社会を目指した運動があり、それが毛沢東(中国共産党)の文化大革命やPol Pot(カンプチア共産党)の政策である。これらは何れも、結果夥しい数の自国民を死に至らしめた。

以上のような理由から、共産主義を「革新」と分類するのは正鵠を射たものとは言えない。共産主義や社会主義の人が「革命」という語を宣伝用語として多用した様に、共産主義を「革新」と分類するのは、些か政治的偏向を含んだものだと言えよう。

共産主義についてこのような見方をしている人を探したが人は見つからず、Wikipediaに「原始共産制社会を理想とする思想を無政府原始主義と呼ぶ」と述べられているに留まった。

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