大学入試制度は、学生の思考力などを反映した試験を作ることなどを目的として2021年から大幅な改革が予定されており、名前も「 大学入試センター試験」から「大学入学共通テスト」へと変更になる。
もともと予定されていた 大学入学共通テストの内容は、「国語や数学での記述解答」「英語の民間試験の活用」などが含まれていた。
ところがこれらの改革は、否定的な意見により2019年12月に撤回された。この背景には、マスコミが政治問題化を狙って官房副長官の発言に関して情報操作を行ったなどの要因もある。
試験の内容の変化
結局、記述解答や民間試験の活用などは今回は見送られたわけだが、それでも 「大学入学共通テスト」から試験の傾向は変わる部分もあるのだ。
英語に関しては、問題文が英文となり、語数も大幅に増加する。そしてリスニングの配点が大幅に上がる。国際的人材の育成が狙いと見られ、良い傾向だ。
歴史科目においては、教科書にない所見の資料を出題し、暗記では対応できない「知識の活用」を試すという。
また、最後のセンター試験となった2020年の試験でも、次の試験の変化の兆しが見えるようだ。
その試験では、「考える」内容の出題が例年より多かったようだ。例年の傾向と違ったため、平均点は前年より20点も低かった。 2021年の 大学入学共通テストではこの傾向はなお顕著になるはずだ。
試験への学生らの対応
大学入学共通テスト が初めて導入される2021年の試験では、志願者数は下がったり、安全志向で難関大の倍率が下がるたろう。
- 過去に例のない内容の試験なので、リスクを避けて大学入学共通テストを受ける必要のない私立や難関でない国公立を目指す学生が増える。
- 2020年の試験では、例年より志望校のレベルを下げる学生が多かった。これは、仮にどの大学にも合格しなかった場合、次年の 大学入学共通テスト を受ける必要があり、不確実性の高いその試験を受けることを避けたかったためだ。したがって、今年生まれる浪人生は例年より有意に少ないだろう。ということは、2021年の 大学入学共通テストでは浪人生の受験が減る。
大学入学共通テストを警戒する人は多いが、真に思考力のある学生なら、試験内容の改革はむしろ有利に働き、倍率も下がることが予想されるので、2021年の試験は難関国公立校に入る千載一遇のチャンスとなるだろう。
一方で、私立大は倍率が上がり難しくなるだろう。