「センター・共通」カテゴリーアーカイブ

高校理科(物理) 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト) H29年度の解説

問題, 正解

解説動画

第1問

すべてセンター2009年の過去問だった。この試験が共通テストの試行調査であるにも関わらずセンター過去問を出したのは、受験者の学力を測って共通テストの難易度調整に利用するためだろう。

問2

正解率10%という難問。問1が簡単だっただけに、引っかかった人も多いだろう。

ネット上でも解説が見つかるが、どれもピンと来ない。

それで私なりに考えて、電位差に着目する考え方が最も腑に落ちやすいのではと思った。

この問題では、手回し発電機を使った際の起電力(電位差)はどの繋ぎ方も同じだ。キルヒホッフの法則により、回路のどこかに起電力を相殺する電位差が必要となる。回路の抵抗が少ないほど、それを導線のジュール熱で補う必要がある。したがって抵抗が少ない方が手回し発電機を回すのに必要な力が大きくなるのだ。

第2問

問1は、単振り子の式1を考察するもの。πとgは定数なので、Lの値が変化し得る選択肢が正解。(3)は直感的に分かる。(1)も正解なのは、重心が上に移動することで、Lの値が実質的に小さくなるからだ。

問3は、「科学とは何たるか」という哲学的な理解を試された面白い問題。

第3問

速度、加速度、向心加速度と、色々な制限が付いていて戸惑う。

問1では、1, 2, 3に入る数値に関しては向心加速度制限を考慮する必要はない。なぜなら4, 5, 6で向心加速度を求める問題があり、制限に収まっている事は明らかだからだ。

問2はまず、向心加速度の式を用いてC地点における最大速度vを求める。そして25m/s からvまで減速するのに掛かった時間を加速度制限を用いて求める。後は図3における減速区間の面積を求めれば完了。根号を含む乗算が必要だが、計算を工夫すれば(x+y)(x-y)の形になる。簡単ではあるが計算に時間が掛かるので捨ててもいいだろう。

問5は正解率2.6%。難しくはないがやはり計算に時間が掛かる。解答12は選択肢の数値が1.0刻みなので、計算過程の数値を有効数字2桁で処理しても良いだろう。理論化学のような問題で、化学を学んでいる人は有利。

第4問

見慣れない図が示されているが、これは「コイルに磁石を近づける」というあの電磁誘導のやり方を変えて、わざと電磁誘導だと認識するのを難しくしているだけだ。次の二つの条件を満たせば電磁誘導が起きる。

  • 磁束とコイルがある
  • コイル内の磁束が変化する仕組みになっている

問1

正解率15.1%。

ここで生じる電位は、磁束の変位を時間で微分したものなので、カクカクとした形になる。

電流は初めは「端子b → 端子a」で、次に「a → b」と変わるので、グラフは正の山から負の山になりそうだが、これが上手い引っ掛け。これは電位の本質を理解していないと解けない。

電流は水流のように、電位の高いところから低いところへ外力を受けずに自然に流れ、電池という名のポンプで引き上げられる。では、この問題での電流は自然に流れているか?NOである。電磁誘導により外部からの働きかけで流されているのである。これはまさにポンプで、電池と同じ役割を果たしているのである。したがって正解は(6)となる。

高校英語 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト) H29年度の解説

問題, 正解

Reading

第2問

問1は引っ掛け。” casual lunch “を選びがちだが、営業時間が5 p.m. 〜 6 a.m.となっているので、lunchは不適。

問4は複数選択問題。しかも Annie’s Kitchen の料理の写真が中華料理のみという引っ掛けにもなっていて正答率は14%と低かった。

引っ掛けが意外と多い。大問の文章を全文読むのは非効率だろうが、各問は精確に読む必要がありそうだ。

第3問

Bは口語的な文章を扱っていて、設問も現代文の様なものもある。話題が頻繁に変わっていくので、全文を読んでも内容を憶えにくく攻略しづらい。話題毎に印を書き込むなどの工夫が効果的だろう。

第5問

Bの問2は複数選択で正解率は6%だった。選択肢を一つ一つ本文に照らし合わせて確認していけば解けるが、なんせ時間が掛かる。

第6問

問1は、物語の概要を埋めるもの。次の二つのテクニックが使える。

  • Beginning とEndingという前後の記述を踏まえて流れに合うものを絞り込むという手がある。
  • ” Main characters “の項目にはOscar と Christopher だけが書かれているので、 The counselor と Dylan という人物が挙げられている選択肢は消去できる。

高校国語 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト) H29年度の解説

問題, 正解

大修館書店の解説

現代文

第2問

題材は宇杉和夫「 路地がまちの記憶をつなぐ 」

未定義の新語がやたらと出てきて、全文を通して読んでも意味不明の文章である。こんな文章をレポートや論文として提出したら、突き返されるだろう。そんなものを試験の題材にしてしまうとは、国語の担当者は何を考えているのか?

長々と書かれているが、要するに「路地が無くなったら寂しい」と言いたいだけの話だ。著者の路地に対する執着心だけは分かった。

出題の意図 にも書かれているように、問題解く上では図の内容やキャプションから情報を読み取ることが必要になっている。問2と問3がその例だ。掲載されている図は単なる補助的な情報ではなく、むしろ本文よりも重要性が高い。本番の共通テストでもこの傾向は表れそうだ。本文は全文を読まずに図表だけはよく読む様にすると効率的だ。

第3問

題材は光原百合の小説「ツバメたち」

問3はツバメたちの心情を推測する問題だが、例に漏れず理不尽である。共通テストで小説問題が出題されるか分からないが、こういうのは字面通りの解釈よりも少し捻った答えが正解と考えて良いだろう。

問4も奇妙な設問。

  • (1)は”彼”と王子はすれ違ってはいないので不適。
  • (2)は捻くれた解釈だが、捻くれているからこそ正解なのだ。
  • (3)はいかにも正解らしいので不正解。
  • (4)は、「成就を暗示する」と書かれているが成就していないので不適。
  • (5)は、Yでは彼と王子は救済されたとの言及は無いので不適。
  • (6)は、「自分ではそう思っていただろう。でも…」の部分に気づけるかを問われている。

古文

問4

俊成が「未央の柳」という一句を見せ消ちにしたのは、もともと行成の書写がそうなっており、自分も若菜の巻を分析してそれに倣ったものである。それを聞いて 親行も若菜の巻を開き、「柳」が容姿を形容するのに多用されていると知り「こうして俊成様は 見せ消ちになさったのだ!」納得したのだ。

漢文

問1の読み方の問題に対して、問2の意味の問題は対照的に難しく、引っ掛けである。

文章IIに、文章Iの概要が日本語で書かれているので、これを読んでから漢文を読解するのが効率的だ。

高校公民(現代社会) 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト) H29年度の解説

現代社会

問題, 正解

第1問

問7は奇妙な問題である。ラッセル曰く、「キツネが罠にかかって尾を失ったのは、キツネが自己中心的だったからだ。」。

だから選択肢4の「 どうしたら新しい尾を生やすことができるかを彼らに示してやること 」つまりは「お前は自己中心的だから 幸福になる道を見つけることはできない 」が正解となる。

この設問は、主語や目的語が不明確な不適切問題である。それにしてもここに描かれているラッセルは理不尽なことを言うね。

大学入学共通テスト(試行調査)・センター試験の解説・分析

基本情報

平成30 (2018)年度試行調査

平成29 (2017)年度試行調査

平成31 (2019)年度 センター試験

問題の解説

数学

理科

英語

高校数学IIB 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト) H30年度の解説

問題解答

第1問(p4)

第1問はテスト全体に比してかなり簡単で、ここだけで全体の半分の点数になりそう。

〔3〕

「対数ものさし」の問題は、見慣れない人は困惑してしまうだろうが、冷静に対処すれば意外と簡単だ。実はこれは「計算尺」といって昔は実用されていたものだ。また、対数グラフを知っていれば解きやすいと思う。

(iv)は、「対数ものさし同士の目盛りを一度だけ合わせることで実行できるもの」という、一見よく分からない問題。しかしこれは(ii)と(iii)が誘導問題になっており、それに気づくだけで簡単に解ける。前後の問題の関係を常に意識して臨もう

第4問(p20)

数列の問題。

(5)は、配点は4点と比較的高いが、長い数式を書いていく必要があり解くのに10分以上はかかるので「捨て問」だ。

第5問(p24)

(1)

(ii)は、「内積 OA・CN の値を用いて」という指示に従ってまともに解くととても時間が掛かる。この設問は正四面体OABCに注目して、頂点Cから底面OABに垂線を下した交点の位置を考察すると良い。むしろ出題者はそこに気付いて欲しいではないか?

(2)

(i)は普通に解けば難問。次の点に着目する必要がある。

  • 角AOBと 角 CODの変化の仕方をOM, ON の長さの比が代表している。
  • OM・ON = |OM||ON|
  • 角AOBと 角 CODの変化が連動しているという情報を式に組み込むため、OM, ON をそれぞれベクトルa, b, c, dを使って表す。

これも10分以内には解けないので本来なら捨て問だが、実はこの折り紙をペチャンコ、つまりα=0, β=2π/3 と仮定したときのcosα, cosβの値を選択肢の式に代入するだけで正答を特定できる。これなら30秒で解ける。

高校物理 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト) H30年度の解説

問題 & 解答

第1問

熱力学の問題。 問3はピストンの栓を抜いたら内部エネルギーはどうなるかという問題だが、この正答率が非常に低かった。

この問題を解くには「断熱自由膨張」と「ピストンの位置エネルギー」を理解しておく必要がある。

栓を抜いたあと、気体は真空に流れ込むが、この時は膨張すると言っても真空なので力を加えておらず、内部エネルギーは消費しない。これが断熱自由膨張である。

そして、ピストンが自由落下ではなくゆっくりと落ちていくということは、ピストンの位置エネルギーが消費されているということを示唆しているのだ。その位置エネルギーはどこへ行ったか?気体分子の運動エネルギーに転換されたのである。つまり温度が上がるということだ。

これらを総合すると、気体は栓を抜いた後に温度が上がるという直観には反する結果となる。シンプルな設問ながら深い考察が必要な良問である。

第2問

問 2 は相対速度の考え方を理解している必要がある。

まず、「力の平均値」とは「力積(運動量) / 時間」で求められる。

解法1

解法の一つとして、Aの運動量の変化を調べるというものがある。元の運動量が-mvで衝突後にemvになったので、

-mv + x = emv

x = (1+e) mv

と求められ、これをΔtで割ったものが答えだ。

解法2

これはBの運動量の減少分から導き出すものだ。

Aから見たBの運動量は2mv であり、衝突後に(1-e) mv となる。

注意すべきなのはemv ではないことで、それはあくまで「元のAの速度」が基準になっているからだ。これはどういう意味かというと、衝突前のAが速度「-v」だったので、これを追うためのカメラが速度「-v」で走っているわけだ。衝突後もカメラはこの速度で動いており、このカメラを通してBを見ると、「-ev – (-v) = (1-e) v」の速さに見える。

したがって、Bの運動量の減少分は、

2mv – (1-e) mv = (1+e) mv

となり、これ をΔtで割ったものが答えとなる。