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動物の子別れ・性成熟と人の反抗期の関係 生物学

脊椎動物の中には、親子の中が悪くなることで子育てが完了する種がある。これは「子別れ」と呼ばれる。
この子別れとヒトの反抗期との関係を考える。

動物の子別れ

ハムスター、ウミネコ、ネコなどは、親は子を一定の期間育てた後、その子に対して威嚇や攻撃を行って追い払う。鳥綱の場合は特に「突き放し」と呼ばれる。
この様な性質が存在する理由は、子を自立させるためと見られる。子がいつ迄も親離れ出来ないと、その子は繁殖活動を開始できず、したがってその種は保存できない。そういう理由から、「我が子に対して、子育て開始から一定の期間が経過すると憎悪を覚える」という形質を持った種が自然選択によって残ったのだろう。

ヒトの反抗期

この「子別れ」の機構に関して特殊なのがヒトである。ヒトには「親が子に対して憎悪を覚える」という性質は無い。その代わり、子が親に対して憎悪を覚える「反抗期」が存在する。
この性質は他の動物には見られない。オウム目には反抗期があるとされるが、これは人間が飼育している際に飼い主に対して発生するものと見られ、実の親子関係に於いても存在するかは分からない。
ヒト以外の動物には反抗期は無いようだが、雄に限れば「性成熟すると群れから離れる」という行動が広範囲な種で見られる。この性質はヒトが属する霊長目動物には一般的な性質なので、ヒトの反抗期というのはこの性質が発展したものなのかもしれない。

各動物に於ける子別れと性成熟の時期

動物の種類 分類 子別れの時期 性成熟の時期
ハムスター 哺乳綱齧歯目 3週 6~7週 7~8週
ウミネコ 鳥綱チドリ目 6週 3歳
アカギツネ 哺乳綱ネコ目 4カ月 9カ月
ネコ 哺乳綱ネコ目 6カ月 6~8カ月 8~10カ月
タンチョウ 鳥綱ツル目 10カ月 3歳
カモシカ 哺乳綱ウシ目 1歳 3歳
セイウチ 哺乳綱ネコ目 3歳 6~7歳 8~10歳
ヒト 哺乳綱霊長目 14歳 12歳 13歳

ヒトの共感性の発達段階 分離個体化・役割取得 心理学

ヒトの共感性の発達を纏めた。

2~5ヶ月
共生期。内部と外部の識別が生じるが、母親とは全能的な一体感を持つ。
5~9ヶ月
分化期。母親を「対象」として認識し、母親を特定化する。母親と他人を区別して人見知り行動を行う。
15~24ヶ月
再接近期。母親を別の存在として認識する。
2~3歳
他者を自分とは独立した内的状態を持つものと捉える。
4~5歳
状況から感情を推測する。自他に於ける視点の区別はできない。
6~7歳
対象の特性を考慮して感情を推測する。自他の視点を区別でき、他者が固有の感情を持つことを理解するが、その理解は自己中心的である。
8歳~11歳
人がそれぞれが固有の感情を持つことを認識する。
12歳~14歳
第三者の視点から対象の感情を推測する。

参考文献

自己愛と対象愛の関係 考察 心理・精神分析学

むぎが自己愛と対象愛の関係について考察したことを纏めた。

投影同一化

「投影同一化」という心理作用は、人格が成熟すると「共感」になるという。
この投影同一化は、libido が自己に向かう自己愛の状態では「投影同一化」、他者に向かう対象愛の状態では「共感」と称し得る。

その愛は本物か?判別方法

対象愛は、一般的に「愛情」と呼ばれるものに等しく、具体的な人間関係では「親から子へ」や「恋人同士」に見い出される。
この様な人間関係に於いて、表面的には対象愛に見えるが実は自己愛である場合がある。しかしながら、それが対象愛なのか自己愛なのかを他者が見分けるのは難しい。

そこで、愛情のように見えたものが自己愛であった場合に見出される特徴を次に挙げた。

  • 相手を自己愛を満たすために利用する。
    • 相手に「自分が自分の理想を実現している」と認めるように期待や要求をする。
    • 相手を自分の理想像を実現するように期待や要求をする。
  • 相手を「自分の期待に応えられない人だ」と判断すると、怒ったり、落胆したり、冷たく接したりする。

非対称性

対象愛には食欲や睡眠欲といった自己愛には含まれない欲求も含まれている。
つまり、自己愛と対象愛が含む欲求にはズレが有り、「非対称である」と云える。
このことから、自己愛および対象愛の定義を改良することが必要かもしれない。

対象関係論(Klein派精神分析) 学習の覚書 心理学

むぎの対象関係論を学ぶ中での覚え書き。

態勢~妄想分裂・抑鬱

態勢(position) 妄想・分裂 抑鬱
獲得時期 生後0カ月 生後5カ月
対象関係(母親への認識) 部分対象(良い・悪い対象、乳房・手) 全体対象
抑鬱不安・迫害不安への反応 分裂・投影同一化 償い・躁的償い・躁的防衛

抑鬱態勢の獲得時期は、全体対象を認識する能力を獲得する事が条件なので、分離固体化期の始まりと一致している。

妄想分裂態勢と抑鬱態勢は、Freud 派精神分析学に於ける快楽原則と現実原則に夫々対応付け得ると思う。
対象関係論は「人は妄想分裂態勢と抑鬱態勢を行き来する」と説明する。私はその変化は離散的ではなく連続的であり、「現実検討能力の強さ」という連続的な尺度を用いる事が出来ると思う。躁的償いや躁的防衛は抑鬱態勢に於ける自我機制と説明されているが、実際には妄想分裂態勢と抑鬱態勢の中間に位置していると言える。

発達障害には「全体対象の認知が難しい」という特徴がある為、妄想分裂態勢から抑鬱態勢への発達が障害されていると見られる。

「態勢(position)」を通俗的表現に替えるとすれば「態度」だと思う。更に「妄想・分裂態勢」は「生意気な態度」、「抑鬱態勢」は「誠実な態度」になる。

不安~迫害・抑鬱

精神分析学の観点からは、自責感(申し訳無さ)と感謝(有り難さ)は兄弟のように似た感情である。
自責感と感謝の感情は、次の点が共通している。

  • 妄想分裂態勢に於いては発生せず、抑鬱態勢に於いて発生する。
  • 自分と相手に於ける両者間の作用によって、「自分の幸福度 – 相手の幸福度」が増加した際に生じる。

私は平成27年から精神分析学の学習を進めている。その中でMelanie Klein が構築した対象関係論についても触れる機会が何度も有った。しかし私がこれまでに読んだ対象関係論に関する資料はかなり解りにくく、理解が進んでいなかった。しかし富山大学の資料を読んで理解が大きく進んだと思う。これは説明が比較的論理性が有る。

米共和党大統領候補Donald Trumpを人格分析 心理学

2016年アメリカ合衆国大統領選挙における共和党の候補者・Donald Trump への人格分析を行った。

信頼感が弱い
  • 他集団への猜疑心が強い
    • 他国を信頼できない
      • 同盟国への自国軍駐留費負担を要求
    • イスラム教徒を排斥
    • ヒスパニック系移民の受け入れに反対
  • 対人関係が表面的
    • 伴侶を容姿で選ぶ
    • 自由貿易に積極的
自己identity を理想化している
  • 白人贔屓
  • ユダヤ系贔屓
  • 国家主義
自己愛が過剰
  • 尊大
    • セクハラを行う
  •  名誉欲が強い
    • 大統領の座を狙う
  • 金銭欲が強い
    • 同盟国に対して自国軍駐留費の負担を要求
    • 営利企業の経営に精力的
    • 詐欺的事業の運営
  • 自己顕示性が強い
    • media に積極的に出演
    • 自身の不動産に自分の名を付ける
    • 妻を容姿で選ぶ

米国人は一般に自己肯定感が強く、Trump もその一人と言える。但し彼の場合は自己中心性が強く、自己愛性パーソナリティ障害の傾向がある。
「信頼感が弱い」とか「自己identity を理想化している」という特徴は自己肯定感の弱い者に多いものなので、実は弱い自己肯定感の代償として誇大自己を形成しているのかもしれない。

投影同一化(投影性同一視)の定義 専門家間の差 心理学

、私は心理学を学ぶ中で、「投影同一化(投影性同一視)」の定義が各専門家で異なることに気付いた。
そこで、どの説明が正しいのかを当の専門家に質問することにした。

専門家の解説

専門家が行っている定義は3種類に分け得る。

「投影対象を同一化」派

次に挙げる専門家の定義は、「投影する側が、投影された側を同一化する」というものだ。

カウンセリングルーム センター南
怒りの感情を持ったとき … 本人から相手に「そんなにイライラしないほうがいいよー」なんて、優しく声をかけてあげたりする … それは自分が優しく声をかけてもらったことと同じことだから、ちょっと怒りが収まったりするわけ。あるいは逆に相手に向かって「イライラしないでよ!」とぶつけて、自分では解決できなかった自分の中の怒りと対決したりすることもあるね。
メンタルケア天王寺
相手の中に、自分と同じもの――この場合で言えば、自分と同じく幼いころから欠損した家庭環境に育ち、親の愛に恵まれなかった不幸――を見つけると、同じように不幸な子ども時代を過ごした自分をその人物に重ねて同一視してしまい、相手を労り、世話することによって、実は自分を労り癒そうとする無意識的な心の動きが働くこと
富山大学
  • 分裂した自己の良い(good)あるいは悪い(bad)部分(parts of the self)のいずれかを,外界の対象に投影し,さらに「良い/悪い」自己を投影した外界の対象と自己を同一化させる機制
  • 自己は投影された部分に対してとるのと同じような態度(例えば,願望充足追求的あるいは処罰・攻撃的な態度)を対象にとりつづけることになる。
Meira Likierman
人は実際に自らの情動もしくは心の他の部分をも別の誰かへと投げ入れることを知っています。恰も誰かの内側へと入り込み、かつ影響を及ぼすといったふうに、それらは具体的な実体のように感じるのであります。これらの具体的な投影 concrete projection を受け取った対象 the object は、それらの特徴に彩られ、想像の中で自己 the self にそっくり似たものとなり始めます。つまりは、それと同一視するということが起こるのです。
本松良太郎
自己愛性人格障害の人に顕著に見られる自我防衛機制として、自分の内面にある肯定的な自己対象(母親)のイメージや過去に得られなかった無条件の愛情を『現在話している他者』に投影して同一化する
Keyword Project+Psychology
  • 自己の一部を対象に投影すると同時に、自己の一部と対象の一部を同一視してしまう防衛機制
  • 妄想-分裂ポジションにある乳児は『良い自己の愛情・好意』を『良い乳房』に対して投影し同一化する。それと同時に、『悪い自己の攻撃性・破壊衝動・憎しみ』などのネガティブな感情を『悪い乳房』に対して同一化する

「投影内容を実際に持たせようとする」派

次に挙げる専門家の定義は、「投影する側が、投影された側に投影内容を実際に持つように働きかける」というものだ。

田尻健二
自身が投影する心理的側面どおりに振舞うように強引に相手を操作しようと試みる
反田克彦
  • 本当は自分相手のことを好きなのに、相手が誘惑している … と思うだけではなくて、相手が誘惑するように積極的に仕向ける
  • 「男は嫌い」といいながら、男性を誘惑するような色っぽい服を着ていたりします。 … それで男性が声をかけてくると、悪い男がちょっかいを出してきたと感じるのです。
  • 相手を攻撃したい気持ちがあったとすると、相手が自分を攻撃しようとしていると感じます。それに加えて無意識的に、相手が自分を攻撃してくるような態度を取るのです。

「投影対象が同一化」派

次に挙げる専門家の定義は、「投影された側が、その投影内容を実際に持ってしまうこと」であり、投影した側だけでなく投影された側の心理も含まれているのが特徴だ。

時田憲一
  • 自分も他人と同じように投影してしまうこと
  • 患者にアグレッション(攻撃性)があったとしてこれを治療者に向けます。すると治療者の方がこれに反応して、結果的に患者と同じ感情を治療者も持ってしまうこと、患者も治療者が自分と同じ感情を持っているように見えてしまうことです。
福場将太
「本当は自分が相手を嫌っているのに相手が自分を嫌っていると考える」→「嫌われていると思って相手に接するその態度に相手もだんだん不快になる」→本当に相手が自分を嫌いになる
城谷宏美
相手が投影してきたものに、自分が 同一化 してしまう
m03a076d
嫌なものを相手に押し込めて、相手にその嫌なものがあるような感情を抱かせる
Wikipedia
  • Bに帰属するのにBがアクセス出来ない感情を、代わりにAの内部に(単に外的にでなく)『投影』することで、Aが経験する
  • 他者に関して虚偽を信じる人物が、その信念を実現すべく相手が行動を変更するように関係を持つところの、自己成就的予言である
  • 投影性同一視のひとつの例は、警察に迫害されているという妄想を発展させている妄想型統合失調症者のそれである。すなわち警察に怯える彼は警察官の周囲でコソコソまた不安気に行動し始めるが、それによって警官の嫌疑が増大し、彼を捕まえる理由が何かないかと探し始めることになる。

専門家へ質問

私は多くの専門家から心理学を学んできたが、各専門家で用語の定義が明確に異なるという事態に出会うのはこれが初めてだ。
私の心理学の学習は独学であり、その方法はWWW 上に掲載されている解説を読むというものだ。WWW 上とは言え、正確な知識を得るために参考にする対象は専門家に限定している。それにも関わらず人に依って定義が異なるという事態に直面したため困惑した。しかもこの語は心理学用語の中でも有名な方だから尚更驚きだ。
そこで、どの説明が正しいのかを当の専門家らに直接聞くことにした。勿論、異なる説明をしている其々の人から質問する。

回答を頂いた専門家は、福場将太氏(精神科医)とm03a076d 氏(精神科医)の二人。彼らの回答を要約して記す。

福場将太
私は「投影する側が相手が投影通りになるように働きかける」と理解している。文中では、投影同一化は無意識に行われるので「相手に接しているうちに相手がその投影通りになってしまう」と表現している。
私は「治療者が患者に共感している時に患者から治療者への投影同一化が起きている」と学んだ。ゆえに私は心理学の専門家ではないが、投影同一化をそのように理解している。
「投影同一化」は精神医学に於ける「共感」を説明するだけのものではないので、様々な定義が存在するのだろう。
m03a076d
誰に重きをおくかで細かい意味は変わってくる。また、精神分析の用語は時代に依って異なっている場合がある。

回答してくださった全員が、「正しい定義は一つではない」というものだった。
一般に「投影同一化は人格の成長に因って共感に至る」と言われているが、福場氏の説明だと「共感」と「投影同一化」を行う主体が異なっているので、彼の理解は誤りだと思う。
何れにせよ、専門的な議論をするためには、定義を統一したほうが良い。私なりに考えた結果、「投影同一化」の定義は「投影対象を同一化」が正しく、「投影対象が同一化」は「逆転移」である、という結論に至った。

反社会性人格障害は超自我に異常?精神病質と社会病質

私は平成27年頃から、心理学と連続殺人犯について調べてきた。
そして、私は「Milwaukee の食人鬼」と呼ばれる連続殺人犯・Jeffrey Lionel Dahmer について調べていた。

Dahmer は少年時代を精神不安定な母、家庭を顧みない父という不安定な家庭で過ごし、その影響で彼も精神不安定な少年として育っていったという。
この事を学んだ私は、「反社会性パーソナリティ障害の原因は超自我の形成の異常ではないか」と思った。
そう思った理由は、

  • 超自我は幼少期に形成される。
  • 私がこれまでに調べてきた連続殺人犯達には、少年時代の家庭環境が不安定だった者が多かった。その連続殺人犯の一例がJohn Wayne Gacy である。

という物で、幼少期に正常な良心を育めなかった故に、成人しても非人道的行動を執ってしまう、と考えたのだ。
但し、Dahmer について「反社会性パーソナリティ障害である」と判断するには証拠が不充分である。それでも、連続殺人犯に少年時代の家庭環境が不安定だった者が多いのは間違いない。

そこでこの点について調べてみた。そして判ったのが、反社会的パーソナリティ障害はその原因について分けられ、

  • 先天的に共感性が弱い等の先天性の場合、精神病質(psychopathy)と呼ぶ。
  • 事故による脳障害や教育などの後天性の場合、社会病質(sociopathy)と呼ぶ。

超自我の形成は後天的である為、超自我の形成の異常による反社会的パーソナリティ障害は社会病質であるという事になる。
私はこれまで反社会性パーソナリティ障害と精神病質を区別していなかったが、この様な新たな事実を学んだ。